歯の豆知識

DENTAL COLUMN

インプラントの固定:セメント固定とセメント固定とは

~歯と食べ物で健康に~ 

  山武郡東金市の歯医者鈴木歯科医院

インプラントの固定:セメント固定とセメント固定とは

当院(山武郡東金市の歯医者鈴木歯科医院)におけるインプラントのご説明をさせてください。

インプラントは基本的にセメント固定とセメント固定の2種類です。
当院ではスクリュー固定が圧倒的に多いです。

それはなぜか?

上部構造の固定様式であるセメント固定・スクリュー固定についてその使い分けに関してお話したいと思います。
インプラントのスクリュー固定(ネジ固定)とセメント固定には、それぞれ利点と欠点があり、治療法の選択には歯科医が患者の状況やニーズに応じて決定します。以下に、それぞれの特徴を説明します。

スクリュー固定(ネジ固定)(Millen et al. 2015ら)

特徴:

  • インプラントの上部構造(人工歯)は、アバットメント(インプラントと人工歯を接続する部品)にネジで固定されます。
  • 歯科医が必要に応じて人工歯を取り外しやすい。

利点:

  • メンテナンスが容易: ネジで固定されているため、歯科医が簡単に取り外して調整や清掃を行えます。
  • 修正が可能: インプラント周囲に問題が発生した場合でも、ネジを外して修正できるため、再手術の必要が少ない。
  • 取り外しが簡単: 歯科医がインプラントを取り外す場合、歯やインプラントを壊さずに対応可能。

欠点:

  • 審美性に影響する可能性: ネジを隠すための小さな穴が人工歯に必要であり、審美的な理由からこの穴を充填する必要がある場合があります。
  • 力の集中: ネジ部分に力が集中することがあり、ネジが緩む可能性がある。

セメント固定 (Millen et al. 2015ら)

特徴:

  • インプラントの上部構造(人工歯)は、アバットメントに接着剤(セメント)で固定されます。

利点:

  • 審美性が高い: ネジの穴が不要なので、自然な見た目を保つことができます。前歯などの目立つ部位に適しています。
  • 力の分散: セメントにより力が均等に分散されるため、ネジ固定よりも安定性があることがあります。

欠点:

  • メンテナンスが難しい: 一度セメントで固定すると取り外しが難しいため、人工歯の調整や修正が必要な場合はインプラント全体を取り外す必要があることがあります。
  • セメント残渣のリスク: セメントがインプラント周囲に残ると、歯周炎や周囲組織の炎症を引き起こす可能性があります。

in vitroの研究では残留セメントをゼロにすることはできず、マージンの設定位置が縁下になるにつれ残留セメント量は増大していくことを明らかにしました。(Linkevicius et al, 2011) また炎症兆候が存在したセメント固定補綴装置の内、歯科用内視鏡で確認したところ81%に残留セメントを認めたとの報告も存在します。(Thomas G et al, 2009) 

小活

  • スクリュー固定は、メンテナンスが容易で取り外しやすいが、審美性に劣る場合があります。
  • セメント固定は、審美的で力が分散されやすいですが、取り外しが難しく、セメントの残留がリスクになることがあります。

ではここでこの2つのどちらが良いか考えましょう。
インプラント治療において、スクリュー固定(ネジ固定)とセメント固定の選択は、患者の口腔内の状態や審美的・機能的な要求によって決定されます。選択基準には以下のような要素が影響します。

1. 審美性

  • セメント固定は、ネジの穴が不要で、より自然な見た目が求められる前歯や審美的に重要な部分でよく選ばれます。特に、歯が見える位置にネジ穴があると審美的な問題になる可能性があるため、セメントでの固定が適しています。
  • スクリュー固定は、審美性がそこまで重要でない奥歯や機能重視の部分で使われやすいです。

2. メンテナンスのしやすさ

  • スクリュー固定は、インプラントのメンテナンスや調整が必要な場合に、ネジを外して容易にアバットメントや上部構造を取り外すことができます。このため、長期的なメンテナンスが予想される場合、スクリュー固定が好まれることがあります。
  • セメント固定は、取り外しが難しく、修正やメンテナンスが複雑になることが多いため、長期的なメンテナンスが頻繁に必要になる場合には向いていません。

3. インプラントの位置と角度

  • スクリュー固定は、インプラントがまっすぐに入っているか、少しの角度のズレで済む場合に適しています。しかし、インプラントの角度が大きくずれる場合、ネジの頭が歯の目立つ部分に出てくるリスクがあるため、審美性に影響を与えることがあります。
  • セメント固定は、インプラントの角度が多少ずれている場合でも審美性を保ちやすいため、角度が適切でない場合に選ばれることがあります。

4. 力の負荷

  • スクリュー固定は、特に強い力がかかる部位(例えば奥歯)に適しています。ネジ固定により、強い咬合力を直接受けても比較的耐久性があります。
  • セメント固定は、力が分散されやすいため、特に負荷が集中しない部分や比較的軽い力がかかる部位で使われやすいです。

5. 修復の必要性

  • スクリュー固定は、万が一インプラントや上部構造に問題が発生した場合に取り外しが簡単なので、将来的な修正が予想される場合には選ばれることが多いです。
  • セメント固定は、一度固定すると取り外しが難しく、修復が必要になる場合には不便です。修正が少ないと見込まれる場合には適しています。

6. 歯周組織の健康状態

  • スクリュー固定は、清掃が容易なため、歯周病やインプラント周囲炎のリスクがある場合に好まれます。
  • セメント固定は、セメントが周囲組織に残る可能性があるため、歯周組織がデリケートな場合や炎症リスクが高い場合には注意が必要です。

まとめ

  • 審美性重視の前歯や審美的に重要な部分では、セメント固定が適していることが多いです。
  • メンテナンス重視や力が強くかかる奥歯では、取り外しや修正が容易なスクリュー固定が好まれる傾向にあります。
  • インプラントの位置や角度、力のかかり方、歯周組織の健康状態も重要な要素であり、総合的に判断して決定されます。


論文より
 2014年のWittnebenらのsystematic reviewでは、5年残存率がセメント固定で96.03%、スクリュー固定で95.55%と両者に有意差は存在しないため(P = 0.686)、重篤な合併症の回避を視点に固定様式を選択すべきであると考えられます。 それゆえに残留セメントによる生物学的合併症の回避することと修理の容易さからスクリュー固定が第一選択となります。 セメント固定はインプラントポジションの不正に対応できるため補助的に使用するのが良いでしょう。
 もしセメント固定を選択される場合は、前述したLinkeviciuらの研究から余剰セメントは縁下2-3mmで増大したため、マージン位置は縁下1mmまでに設定する必要性があります。また仮着、合着どちらのセメントを使用するかはまだ議論の余地がありますが、2011年のSchwarzらの報告によると平均2.95年の観察期間中ブリッジタイプの補綴装置では仮着セメントで維持の喪失が優位であったため、誤嚥のリスクを避けるために補綴様式によっては合着セメントを使用するのも1つの手段かと思われます。

当院(  山武郡東金市の歯医者鈴木歯科医院)では基本的にスクリュー固定で治療を行っております。率としては98%です。残り2%は見た目の問題で患者様から言われる時、セメント固定としております。 では今日も良い一日をお過ごしください。

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