💤 小児の睡眠と歯ならび・口呼吸の深い関係

💤 小児の睡眠と歯ならび・口呼吸の深い関係
〜早期発見が、未来の健康を守ります〜
2025年4月、小児歯科学会(ニューオータニ幕張)にて「小児の睡眠と口腔の関係」について学んできました。
今回のテーマは「睡眠と歯並び・呼吸のつながり」。あまり知られていない領域ですが、非常に重要な内容です。
■ 日本の子どもたちは“世界一”眠れていない?
世界的に見ても、日本の子どもの睡眠時間は最も短いと言われています。理想的な睡眠時間は6〜8時間ですが、実際はそれより2時間も短い子が多く、「睡眠負債(=慢性的な寝不足)」が蓄積されています。
たとえば、1日2時間足りない日が5日続けば、週に10時間分の睡眠が足りないことになります。
睡眠不足が続くと、
- 集中力や記憶力の低下
- キレやすくなる
- 肥満傾向
- 学力の低下
といった影響が出ることがわかっています。
■ 睡眠と“歯ならび”の意外な関係
睡眠とお口の関係で、最近特に注目されているのが「呼吸」と「歯列発育」の関係です。
口を開けて寝ていたり、いびきをかいていたりする子どもは、鼻呼吸がうまくできていないことが多く、それが「反対咬合(受け口)」や「上顎前突(出っ歯)」の原因になることがあります。
📌3〜5歳で反対咬合の子の多くはいびきがある
📌8歳以降になると、上顎前突(出っ歯)が多くなる
これは、睡眠中の呼吸がスムーズにできず、気道を確保しようとして下顎が前に出たり、舌が喉の奥に落ち込むことにより、歯ならびに影響を与えている可能性があるからです。
■ 睡眠の質を評価する5つの視点
お子さんの睡眠・呼吸の問題を見極めるには、以下の5つのチェックが役立ちます。
- OSA-18質問票(子どもの睡眠呼吸障害の評価)
- 睡眠中の動画観察(寝ているときの呼吸やいびき)
- Spo2の測定(血中の酸素濃度。90%以下なら要注意)
- マランパチー分類・Brodsky分類(扁桃・アデノイドの大きさ)
- 頭部X線規格写真(セファロ)(骨格的評価)
これらは耳鼻科や小児科と連携しながら評価・治療していくことができます。
■ 筋機能訓練(MFT)の重要性
夜間は筋肉がゆるみやすくなります。特に舌や口まわりの筋力が弱いと、舌が喉側に落ち込み、気道が狭くなりやすく、睡眠時無呼吸のリスクが高まります。
その対策として有効なのが**筋機能訓練(MFT)**です。
- 舌や唇、頬などの筋肉を鍛え、引き締めて気道を保つ
- 姿勢の改善にもつながる
- 鼻呼吸をしやすくする
など、多くの効果が期待できます。
特に、上顎の成長が遅れていたり、口をポカンと開けているお子さんには、矯正治療とMFTを組み合わせることが推奨されます。
■ 歯科医院でできるサポートとは?
歯科医院では、いびきや反対咬合・出っ歯などの咬合異常に早期に気づき、睡眠や呼吸に関する問題を評価することができます。また、必要に応じて耳鼻科や小児科と連携し、より専門的な検査や治療につなげることができます。
保護者の方から「いびきをかいてるけど大丈夫?」「口を開けて寝てる」などのご相談を受けることも増えています。
■ お子さまの睡眠に関する相談もお気軽に
2024年には母子手帳の内容も改訂され、睡眠に関する質問項目が追加されるなど、国全体でも「子どもの睡眠と発育」が注目されています。
私たち鈴木歯科医院でも、成長期に大切な呼吸と睡眠、そして歯ならびの関係を見守る役割を担っていきたいと考えています。
「もしかしてうちの子も…?」と思ったら、ぜひ一度ご相談ください。