30代女性 ワイヤー矯正と矯正治療用のバネを併用するスピード矯正で歯並びと噛み合わせを改善した症例
治療期間
通院回数
(月1回来院)
治療費
(保定装置含む)
想定される副作用またはリスク
・外科処置後に痛みが長引く場合があります。必要に応じ痛み止めを併用します
・治療中、装置によってまれに頬の内側が傷つき、口内炎になる場合があります
・歯の移動に伴って、違和感や痛みを感じる場合があります
・冷たいものを飲んだときに歯がしみる「知覚過敏」の症状が出る場合があります
・正しいブラッシングやメンテナンスを行わない場合、虫歯や歯周病のリスクが高まります
ご相談内容
「小さいころから前歯に隙間があってしっかり噛めない。歯科医院で働いていたときに治療を受けていたが、そのクリニックが閉業してしまったので来院した」とご相談いただきました。
カウンセリング・診断結果
拝見したところ、下の歯の表面には、四角い装置「ブラケット」にワイヤーを通して歯を動かす「マルチブラケット装置」によるワイヤー矯正が実施されており、すでに歯並びが整っていました。
しかし上の前歯は、歯の大きさに対して顎が小さいことが原因で歯が並ぶスペースが不足し、ガタガタに生える「叢生(そうせい)」のままです。
さらに、上下の前歯が噛み合わず隙間が空いている「開咬(かいこう)」も認められ、前歯で噛むことが困難な状態でした。
歯並びや噛み合わせをこのまま放置すると、見た目の問題だけでなく、叢生部分は歯ブラシが当たりにくいことから、虫歯や歯茎が炎症を起こす「歯周病」になるリスクが高まります。
また、噛み合わせの悪さによって一部の歯に過度な負担がかかり、歯や顎の関節周囲に痛みが生じるおそれもあることから、矯正治療で歯並びと噛み合わせを改善する必要があると診断しました。
行ったご提案・治療内容
歯並びと噛み合わせを改善するため、以下の流れで治療することを提案し、同意いただきました。
・歯を正しい位置に移動させるスペースを確保し、上下の噛み合わせのバランスを整える目的で上下左右の歯(第1小臼歯)4本を抜歯
・ワイヤー矯正と矯正治療用のバネ「クローズドコイル」を併用する「スピード矯正」の実施
その際、併せてそれぞれの治療方法についても以下のように説明しています。
ワイヤー矯正:もともと下の歯に使用していた装置と同じマルチブラケット装置を使用します。また、前歯のブラケットは透明で目立ちにくいタイプのものを選択し、治療中の見た目に配慮します。
クローズドコイル:バネの収縮力を利用して歯がしっかり動くよう一方向に一定の力をかけ続けることで、一般的な矯正治療と比べて治療期間の短縮や通院回数の減少に期待がもてます。
まず上下左右の第1小臼歯4本を抜歯し、同時にマルチブラケット装置とクローズドコイルを取り付けて、歯並びを整える「レベリング」を開始しました。
レベリングではワイヤーの交換や調整により、歯の傾きを変えたり回転させたりして修正し、それぞれの歯を適切な位置に移動させます。
また、この段階でクローズドコイルを併用することで、歯の移動を効率的に進めることが可能です。
その後、月に一度のペースで装置の調整を行い、2年かけて叢生と前歯の噛み合わせの改善に取り組みました。
その結果、歯並びが整い、治療を終了しました。